角川アスキー発刊「AI白書2026」の「DX銘柄・DX注目企業2026におけるAIの取り組み」に弊社が掲載されました。

生成AIはここ数年で驚くべきスピードで進化し、今や仕事や生活の様々な局面で活用されています。
不動産業務の観点でも活用が広がっており、国交省主導でAI活用を前提とした規制緩和の検討が始まるなど、本格活用が問われる局面に入っています。
AIエージェント時代の到来
生成AIは、人間の質問に答えるAIから、「目的を理解し、業務を自律的に進める」ことのできるAIエージェントへとさらなる進化を遂げつつあります。
これまでの生成AI活用というと、メールなどの文章作成、文書やWeb上の記事の要約、ファイルの自動分類、書類の読み取りなど、人の作業の一部を補ったりコンテンツを生成したりと、ピンポイントの業務補助をする使い方が主流でした。
もちろん、こういった補助は業務の上では非常に便利ですし、当社のプロダクトにも様々な形で取り入れられています。
しかし、近年進化しつつあるAIエージェントはこれとは異なります。
AIエージェントは、目的に応じてタスクを分解し、様々なデータやツールを横断的に扱い、業務を遂行します。
不動産業務に例えるなら、今までの生成AIの使い方は「取引先やエンドへのメール文案を作って」というピンポイントの「作業依頼」だったのに対し、AIエージェントが担うのは「この物件のこの部屋に入居申込が入ったはずなので確認して諸々の契約手続きを進めて」というような「業務の依頼」をするイメージになります。
言わば、専任のAI担当者が人間に代わって仕事を進めてくれるようなものです。
実際、当社のプロダクト開発運用の現場では、プログラミングを始めとした開発業務を自律的に判断をするAIエージェントが担っています。
2025年のガートナーの予測では、2026年末の時点でエンタープライズ向けのアプリケーションの40%にタスク特化型のAIエージェントが搭載されるとしていましたが、現段階ではこれはかなり現実味のある状況になってきていると感じています。
AIエージェントがもたらす市場の変化
AIエージェントが本格化してくる局面において、企業は何を考えるべきでしょうか?市場はどのように変化するのでしょうか?
上述のようにAIエージェントはプロセスそのものを主導し自動化することができます。これにより業務プロセスはもちろんのこと、市場における取引プロセスもAIエージェント主導で行われる可能性があることになります。
様々なメディアや記事で言及されていますが、この変化に追従するには業務プロセスそのものをAIエージェント前提で組み直す必要があります。
複数の部署、複数の担当者が分担して行っていた業務が、AIエージェントによりひと続きの業務として完結し、人間の担当者はその結果だけを確認する、という流れに変える必要が出てくるのです。
これは不動産事業者にとっても同様です。
賃貸仲介、売買流通、賃貸管理などの業態を問わず、入居申込から契約締結まで、査定依頼受付から一次応答と提案書の作成まで、毎月の入金確認から消込・オーナー送金内容の確定まで、一連の手続きをAIエージェントが主導して完遂する未来が来る可能性が高い、ということになります。
また、こういった変化は企業内の業務にとどまりません。
はじめのうちはAIエージェントの活躍の場は企業内の業務プロセスにとどまっているかもしれませんが、早晩、企業間の調整や企業と顧客の接点においてもAIエージェントがプロセスを遂行する状態になるでしょう。
賃貸における家探しの例で言えば、一般生活者はAIエージェントに希望条件を伝えて候補を自動で出させ、その中から気に入ったものをピックアップしたら、内見の調整から申込手続き・保証会社契約・契約金の振込までAIエージェントに依頼をし、人間が次に行うのは鍵を受け取って入居するところになるかもしれません。鍵の受け取り自体もスマートロックが当たり前の時代になるかもしれませんし、引越業者選定・発注もAIエージェント任せとなるかもしれません。
つまり、市場の取引そのものがAIエージェントにより自動化・完全デジタル化する可能性があることになります。
少し夢のような話をしているかもしれませんが、10年後、あるいは今の進化スピードからすると5年後には、そういった状況が実際に生まれる可能性があるのです。
AIエージェント時代に向けて準備すべきこと
AIエージェントがもたらす変化に追従するためにはどのような準備がいるのでしょうか?
先程は企業内外のプロセスの見直しについて触れました。それ自体は当然必要なのですが、そもそもAIエージェントを導入するためには他に必要なことは何があるのでしょうか?
そもそもこういった業務を担えるAIエージェントを実現するためには、大きく3つの要素が必要となります。
それは「AIが操作可能なツール」「AIが利用可能なデータ」「AIが業務理解をし判断するための業務知識」です。
AIに対応したツールがなければ、AIが作業できません。
ツールだけ存在してもデータがなければAIは判断できません。
データが利用できたとしても業務知識がなければ業務は完遂できません。
この3つが揃って初めて、不動産業務エージェントが成立するのです。
3つの要素について、もう少し深堀りをしていきましょう。
AIが操作可能なツールとは?
AIがツールを使う場合、これまで人間が直接操作してきた方法とは異なる方法で動かすのが一般的です。
人間は、ブラウザや専用アプリを通じた画面操作で業務を遂行します。
しかしAIは違います。AIは従来のアプリの裏側で動いていた仕組みを直接利用して作業を遂行します。
Webでの調べ物ひとつとっても、人間はブラウザを開いて画面を見て情報を得ますが、AIはブラウザを介さず直接Web上のデータを取得します。
同様に、業務用のアプリ、例えば一般的なExcelなどでもAPIと呼ばれる画面の裏側にあるアプリ自体をソフトウェアから呼ぶ仕組みを利用します。
ただ、現在世の中にある全てのソフトウェアやツールがこの仕組みを備えているかというとそうではありません。
それゆえ、今の段階でもAIが操作可能なツールとそうでないツールが存在しているのです。
不動産業務においても、様々なツールやアプリを日々利用していると思いますが、この「AIが操作可能なアプリやツールか?」という観点は、近い将来訪れるであろうAIエージェント時代を見据える上で、非常に重要なポイントです。
今利用している様々なツールがAIに対応しているのか?今後対応する予定があるのか?などは一度見直してみても良いかもしれません。
AIにとってデータはなぜ重要なのか?
先ほど、AIエージェントにとって重要な要素の2番目にデータを挙げました。
なぜ、データが重要なのでしょうか?
ここでいうデータというのは、ある業務手続き中に記録されるデータ、という意味ではありません。
業務を遂行する上では、様々なデータが必要になります。
特に重要なのは、企業が、これまでのビジネスの中で蓄積したデータです。
例えば、入居審査などを含め、新たな取引をする場合、過去の滞納情報や取引実績を参照して確認したくなることがあるかもしれません。
契約を結ぶ際に、過去の契約を参照して、特約条項や法令制限を確認することがあるかもしれません。
取引だけではなく、広告掲載や入金消込などの業務でも、「これまでどうしていたか?」に基づいて業務を行うことは珍しくありません。
今までは、こういった個別の判断を人間が行う際には、「経験」を元にしつつ、デジタル/アナログ問わず何らかの情報を参考に判断をしていたはずです。
これをAIが行うことを考えたらどうなるでしょうか?
全ての情報をルール化して都度AIに伝えるのでは、自律的に実行することはできません。
必要なときに、必要な情報をAIが取得できる必要があります。
ツールが業務の「型」を決めるのだとすれば、データは業務の「経験」と「履歴」を与える存在です。
往々にして、ツールとデータはある意味一体となっていますが、「今利用しているツールでは、データは蓄積されているのか?」「蓄積されていたとして、それは必要なときに必要な情報を探せるようになっているのか?」「集計したり統計をとったりと、データを分析できる状態になっているのか?」といったことを改めて見直してみると良いでしょう。
AIのための業務知識とは?
最後が業務知識です。
今、世の中で一般的に利用されている、ChatGPTやCopilot、Gemini、ClaudeといったAIは確かに非常に優秀です。
おおよそ世の中一般に知られた人類の知識の大部分をカバーしているといっても過言ではないくらい、あらゆることを知っています。
しかし、ここでポイントになるのは「世の中一般に知られた」人類の知識である、という点です。
企業内で行われている様々な業務を見返した時、果たしてその業務をするうえで必要な知識は「世の中一般に知られている」知識だけでしょうか?
不動産業で考えてみると、宅建士やマンション管理士の資格試験で出てくるような知識と、一般的な法令の知識だけで業務が成立しているとはいい難いと思います。
業界慣習や地域ごとの商慣習、自社のルールなど様々な要素が混ざり合って業務知識が構成され、それを経験を積んだ担当者が遂行しているのが実態だと思います。
AIエージェントが、ツールとデータを横断的に扱えるようになったとしても、プロセスを最初から最後まで完遂するためにはこういった業界や自社特有の知識が追加で必要になってきます。
もちろんAIエージェントに判断を任せるのはリスクが有るシーンも出てくるでしょう。そういった際に、AIが人間に判断依頼を出すとしても、やはりこういった知識があった上でないと適切なコミュニケーションはとれません。
では、AIにこのような知識をどうやって与えるのでしょうか?
前述の蓄積データは判断材料の一助にはなりますが、データと同様に、業務知識をデジタル文書化し、AIが活用可能な形式に整えて蓄積・整理する必要があります。
業務マニュアルがデジタルデータでしっかり整備されていれば大きな障壁はないと思いますが、担当者の口伝のような暗黙知に支えられている場合は要注意、ということになります。
まとめ
ここまでで、AIエージェントとは何か? どういった未来をもたらすのか?そのために準備すべきことは何か?を大まかに説明しました。
本記事のポイントを改めて整理します。
- AIは単なる生成AIからAIエージェントに進化しつつある
- AIエージェントは、一連の業務プロセスを自律的に実行することができる
- AIエージェントにより、企業内の業務プロセスから市場の取引のあり方、顧客接点にいたるまで大きな変革がもたらされる未来がすぐそこに来ている
- 企業においては、業務プロセスの見直しから、必要なツールの整備、データ利活用の準備、業務・業界知識の整理など、導入のためにやるべきことは多く、しっかりと準備をしていくことが重要
AI関連の進化速度はとてつもなく早く、「こういった変革は大企業から始まるので、うちはまだまだ関係のない話だろう」というような認識でいると、あっという間に時代の変化に置いていかれる可能性があります。その時になって見直して準備を始めるでは、到底間に合いません。まずは自社の現状を把握するところから始めてみましょう。
来たるAIエージェント時代に向けたいい生活の取り組み
株式会社いい生活では、25年以上にわたって不動産業界に特化したクラウド事業を展開しています。
賃貸仲介・売買流通・賃貸管理といった様々な不動産業務領域をカバーし、不動産事業者内の業務に留まらず、不動産会社間の取引から入居者・オーナーを始めとした一般生活者とのコミュニケーション、周辺事業者との連携まで、幅広いソリューションを単一のプラットフォーム上に展開しております。
AIエージェント時代の到来に向け、いい生活ではAI Vision 2030を掲げ、個別のAI機能組み込みに留まらず、これまで続けてきたAPIベースのアーキテクチャを利用したAI接続性の担保、プラットフォームに蓄積されたデータを活かすデータ利用基盤、業界特化型クラウドとして蓄積し標準化してきた業務知識を統合し、真の不動産AIエージェントを実現すべく進化を続けています。
お客様による当社サービスのご利用により蓄積されたデータは、AIエージェント時代の到来により、より有効かつ効率的に活用可能となります。
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