テナントとは?形態別の特徴や誘致方法、テナントリーシングについても解説

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テナントとは?形態別の特徴や誘致方法、テナントリーシングについても解説

テナント経営とは、オフィス・店舗・倉庫などのさまざまな形態で不動産を提供し、収益を得る不動産の運営方法です。テナントとして物件を貸し出すためには、周辺環境や競合物件を調査し、物件の魅力をアピールすることが求められます。また、テナント誘致のためのリーシング活動も欠かせません。

今回は、テナント経営の基本や経営のメリット、誘致するためのポイントなどをご紹介します。テナント運営を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

テナントとは?

テナントとは?

テナントは、一般的にビルや商業施設の区画ごとに賃貸借契約を締結し、スペースを活用することを意味します。建物オーナーや運営者から借りたスペースは、店舗・事務所・倉庫など、使用目的は多岐にわたります。

元々は、土地・建物の賃借人や賃借権の保護者を示す用語だった「テナント」ですが、現在は土地・建物を借りて事業などを営む行為や場所として用いられることが多いです。

テナントと店舗の違い

テナント=店舗と混同されがちですが、意味合いが異なります。「テナント」は、物件を借りて事業を行う借主やその場所を示す言葉です。それに対して「店舗」は、自分が所有する物件か賃貸かを問わず、商売を行う場所や事業体を意味し、自身で所有しているか否かは問われません。

そのためテナントには、店舗としての利用以外に、企業のオフィス・事務所や貸倉庫なども含まれます。事務作業を行うための事務所やものを保管する倉庫に対して店舗という表現を使わないことからイメージしていただくとわかりやすいかもしれません。

テナントの形態と業種

テナントの形態と業種

テナントの形態・業種は、以下の3種類に分類されます。どのような目的で借りるかによって、テナント選びの条件は変わってくるでしょう。

  • 店舗系
  • オフィス系
  • 倉庫系

ここでは、各形態・業種の特徴を見ていきます。

店舗系

店舗系は、商売を行う場所として不特定多数の来客が利用する物件形態です。テナントを利用する業態は多岐にわたりますが、代表的な業種は以下のとおりです。

  • コンビニ
  • 飲食店
  • 美容院、サロン
  • スポーツジム
  • アパレルショップなどの小売店
  • クリニック

店舗系のテナントといっても、業種や物件の周辺環境ごとに立地や面積などが異なります。必要な設備・スペース、地域ごとの需要に考慮してテナントを選択する必要があります。

オフィス系

オフィス系では、大勢の訪問者を想定することはあまりなく、。主に社内業務の執務の場として用いられます。そのため、長期契約となるケースが多く、安定した収入を確保しやすい傾向にあります。

利用者は、オフィスで働く従業員が中心です。取引先が打ち合わせや商談を目的に訪問するケースもありますが、直接商取引することはほとんどありません。ただし、不動産会社のように事務作業と商取引の両方を行う場合もあります。

またオフィス系の場合、業種・業態によって立地条件が異なります。集客や社員の出勤のしやすさなどに考慮して、駅近など交通利便性が高い物件が求められるケースもあります。

倉庫系

倉庫として提供されるテナントは、店舗やオフィスと比較して、人通りの少ない立地を貸倉庫として賃借するケースが多いです。契約も長期にわたることが多く、オフィス系と同様に安定的な収入を得やすい傾向にあります。

倉庫系の契約形態は、シングルテナントとマルチテナントの2種類に分けられます。シングルテントは倉庫のすべてを1社が契約して利用するものです。マルチテナントは大型の倉庫を複数の企業が共有して利用します。

テナントを経営するメリット

テナントを経営するメリット

テナント経営には、他の投資に比べて以下のような優位性があります。

  • 初期コストを抑えられる
  • ランニングコストが抑えられる
  • 高い収益が期待できる

以下、詳しくご紹介します。

初期コストを抑えられる

テナント経営のメリットは、初期コストを抑えられることにあります。土地のみを賃借する場合、貸主は建物を建設するコストがかからないため、初期コストはあまりかかりません。

建物を建てて貸し出すケースでも、テナントはアパートやマンションと比べるとコストを抑えやすいといえるでしょう。テナントの場合、設備や内装は借主が行うケースが多く、その工事費も借主負担となるからです。

ランニングコストが抑えられる

初期コストだけではなく、ランニングコストを抑えやすいこともメリットの一つです。アパート・マンション経営の場合、退去時に発生する原状回復工事は貸主が行います。しかし、テナントの原状回復は借主が行うため貸主に負担がかかりません。

なお、借主との契約時に、賃料の6~16カ月分程度の保証金が借主から貸主に支払われます。これは、借主が原状回復できなかった場合や家賃の滞納が発生した場合の補填を目的とするものですが、退去時に借主に返金する義務がありませんので、収入にすることが可能です。

高い収益が期待できる

収益性の高さもテナント経営の魅力の一つです。テナントはアパート・マンションと比べて賃料が1.5~2倍程度高く設定できることに加えて、賃料を上げやすい傾向にあります。

また、上述のとおり、テナント経営は初期コストを抑えやすいため、初期投資の回収まで比較的時間がかかりません。このことも他の投資に比べて収益性を高めやすい理由の一つとなっています。

テナントを誘致するための方法

テナントを誘致するための方法

テナント経営を成功させるためには、事業主(借主)を誘致する必要があります。主なテナント誘致の方法は以下のとおりです。

  • レインズに登録する
  • 不動産ポータルサイトに掲載する
  • Web広告を出稿する
  • 看板やポスターを作成する
  • チラシを作って配布する

テナントを誘致する方法について詳しく見ていきましょう。

REINSに登録する

REINS(レインズ)は、国土交通大臣指定の不動産流通機構が運営する不動産ネットワークシステムです。全国の不動産情報の掲載ならびに閲覧ができ、ほとんどの不動産会社が登録しています。

なお、REINSに物件情報を掲載できるのは、宅建業者のみです。そのため、テナントのオーナー自身でレインズに物件を登録できない場合は、不動産会社に依頼する形となります。

不動産ポータルサイトに掲載する

不動産ポータルサイトにテナント物件を掲載するのもスタンダードな誘致方法の一つです。現在は、ネットで物件を探す人が大半のため、SUUMOやアットホームなど複数のポータルサイトに登録することで、テナントを借りたい人に物件情報を効率よく提供することが可能です。

不動産ポータルサイトを活用する際のポイントは、物件情報や写真を充実させることです。物件や周辺状況が細かく記載されている、さまざまな角度から撮影した物件画像が掲載されていることなどで、借主の興味関心を引きやすくなります。

複数のポータルサイトに物件広告を簡単に掲載したいときは、『いい生活賃貸クラウド 物件広告』がおすすめです。こちらのシステムは、物件情報の入力や写真をアップロードし、ボタン一つでレインズをはじめとした業者間流通サイトやFCシステムに物件広告を一括掲載できます。更新も一括で行えるので、広告出稿・更新の手間と時間を省けます。

Web広告を出稿する

近年はWeb広告でテナント募集を行うことも少なくありません。Web広告であれば、普段からインターネットを利用している人に幅広くアプローチすることが可能です。

また、検索エンジンで不動産情報を検索した際に検索結果に表示させるなどのピンポイントな情報発信も可能です。そのため、ターゲットや目的、訴求内容を明確にした上で広告を出稿すれば、効率よくアプローチできるでしょう。

看板やポスターを作成する

看板・ポスターを作成して設置することも効果的な誘致方法の一つです。例えば、物件の周辺に看板を設置したり、人通りの多い場所にポスターを貼ったりすることで、物件を認知してもらいやすくなります。この方法は、特定の地域内でテナントを探している人に認知されやすく、看板・ポスターを見て飛び込みで内見を依頼されるといったケースもあるでしょう。

看板やポスターでの訴求は、目の引くデザイン・装飾にすることがポイントです。一方で、周辺の景観を損なわないようにすることにも配慮しつつ、何を訴求しているのかがわかりやすいデザインにすることが求められます。

チラシを作って配布する

不特定多数の人にテナントを知ってもらうためには、チラシの配布も効果的です。ポストへの投函や新聞の折り込みに入れるといった方法があります。

募集チラシは看板やポスターと同様に、デザインと文章の読みやすさが大切です。物件のイメージを損なっていないか、ターゲット層に関心を持ってもらえるかなどがポイントとなります。

テナント誘致を成功させるために押さえておきたいポイント

テナント誘致を成功させるために押さえておきたいポイント

レインズやポータルサイトに物件情報を登録し、広告を出稿するだけでは集客手段として十分ではありません。テナント誘致を成功させるために押さえておきたいポイントは以下のとおりです。

  • 適正な賃料を設定する・テナントの形態に合った誘致方法を採り入れる
  • 周辺のリサーチを欠かさない

各ポイントについて詳しくご紹介します。

適正な賃料を設定する

テナント誘致を成功させるためには、賃料を適正なものにすることが大切です。ただし、借りやすさを重視して賃料を下げ過ぎると、収益性が低下してしまいますので、周辺の市場調査による平均相場の把握が大切です。

テナントの賃料は、物件を貸し出した際に得られる収入を算出して適切な賃料を設定する収益分析法を用いるケースが多いです。「(賃貸物件の年間予測収入+年間必要経費)÷12カ月」でおおよその賃料を算出できます。どのくらいの収入を見込めるかは、坪単価や物件の広さ、立地などの条件を加味して予測するとよいでしょう。

テナントの形態に合った誘致方法を採り入れる

テナントの形態によって物件の使用目的や用途が異なるため、ターゲットとなる形態に合わせて訴求方法や内容を変えていきます。

例えば、オフィスビルであれば、部屋の形状がコの字型やL字型よりも、シンプルな長方形の方がレイアウトのしやすさの面で好まれる傾向にあります。そのため、建物内の快適性を確保しやすいことなどを広告に打ち出すことで、誘致につながる可能性が高まるはずです。

倉庫の場合、倉庫に特化したポータルサイトに登録して集客することもおすすめです。倉庫の広さや天井高、搬入出のしやすさなどを、倉庫に特化したアピールポイントを訴求できます。

周辺のリサーチを欠かさない

テナント誘致を成功させるためには、周辺のリサーチが欠かせません。リサーチ情報に基づいてマーケティング戦略・施策を策定することで、誘致成功の確率が高まります。

例えば、対象エリアの情報や顧客層を調査して分析すれば、どのような形態のテナントにニーズがあるのかを把握することが可能です。ニーズの把握が進めば、それにあった事業主を誘致するための戦略を考えやすくなるでしょう。

また、競合となるテナントの情報を調べておくことも大切です。競合の特徴や強み・弱み、情報発信などを把握することで、差異化のヒントが見えてきます。近隣に類似物件があれば、所有テナントの適切な賃料設定の材料とすることもできるでしょう。

テナント誘致をサポートする「テナントリーシング」

テナント誘致をサポートする「テナントリーシング」

テナント誘致のサポートとして「テナントリーシング」を活用するというのも一つの方法です。ここでは、「テナントリーシング」の詳細および特徴などについてご紹介します。

テナントリーシングの特徴

テナントリーシングは「客付け」や「リーシング」などと呼ばれ、商業施設・オフィスビル内の賃貸物件を利用したい借主を探し、成約までの関連業務をサポートするものです。

テナントの誘致における集客活動から成約までの一連のプロセスにおいてはさまざまな工程があります。加えて、不動産の専門的な知識が求められるため、テナントリーシングを活用し、専門知識を持つプロの支援を受ければ、効率よくテナントの誘致活動を行うことが可能です。

仲介業務との違い

不動産仲介業務は、借主が求める条件に合った物件を紹介し、成約に導くものです。一方のテナントリーシングは、物件の価値と収益性の向上を目的に、誘致全般の幅広い業務を手掛ける点で両者は異なります。

プロパティマネジメント(PM)との違い

プロパティマネジメント(PM)は、物件全体の管理を手掛ける業務です。物件の維持管理や入居者の対応、家賃の回収などが主な業務になります。

不動産の価値向上を目的に、集客面から幅広くサポートするテナントリーシングに対し、プロパティマネジメントは開業後の物件管理に特化していることが特徴です。適切な管理によって不動産の価値向上を目指すのがプロパティマネジメントといえるでしょう。

テナントリーシングの業務内容

テナントリーシングの主な業務内容は以下のとおりです。

  • マーケティングリサーチ
  • 計画策定
  • 候補テナントへの営業活動
  • 契約から開業までの支援

誘致すべき店舗・企業を見極めるためにマーケティングリサーチを実施し、募集計画を策定します。また、リサーチ結果に基づいて候補となる店舗・企業などに営業をかけ、成約を目指すことも大切な業務の一つです。

候補テナントとの条件交渉が確定し次第、テナント物件の賃貸契約から開業までのサポートをすることもテナントリーシングの大切な仕事です。

テナント経営は周辺の調査・分析、リーシングが成功の鍵になる

テナント経営は周辺の調査・分析、リーシングが成功の鍵になる

テナント経営は初期コストやランニングコストを抑えて始めることができ、高い収益を狙えるチャンスもあります。しかし、テナントの誘致は簡単なものではなく、専門的な知識が求められます。

物件所在地の周辺調査・分析によって、テナント物件の強みや弱さを把握することで、効果的なマーケティング戦略を講じられるようになります。また、オーナーの利益最大化に貢献できるように、不動産会社がリーシングを通じてテナント経営を支援することもニーズが高いといえるでしょう。

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