セールスファネルという言葉を聞いたことがありますか?これは、見込み客が最終的に継続的な顧客になるまでのプロセスを段階的に分けたものです。セールスファネルを活用することで、営業やマーケティングの各段階で、顧客のニーズや抱えている課題を明確に把握できるようになります。
この方法は、あらゆる業界の営業活動に応用可能であり、賃貸管理業にも効果的です。そこで今回は、賃貸管理会社がセールスファネルを活用することのメリットや、実施する際の注意点についてくわしく解説します。
セールスファネルとは?
セールスファネルは、潜在顧客が実際の顧客になるまでのプロセスを段階ごとに分けたものです。認知から購入に至るまで、各段階で顧客の数が絞り込まれていく様子が、漏斗(ファネル)の形に似ていることからこの名称がつけられています。
具体的な流れとしては、最初の段階で自社の商品やサービス、ブランドが顧客に認知されます。次に、その認知を得た顧客が問い合わせや資料請求などのアクションを起こします。
次の段階では、これらのアクションを起こした顧客の中から、契約や購入に向けた商談が進められます。そして最終的に、商談を経た顧客が初めての契約や購入を行い、その後、リピーターとなるように働きかけていく流れになります。
このように、顧客の状態を段階ごとに分けて把握することで、各段階に応じたアプローチや顧客のニーズをより的確に捉えることができます。
セールスファネルの作成手順
セールスファネルの作成によって、思考や施策をまとめられるだけでなく、集客力や売上アップといった企業の成長にもつなげることができます。ここでは、セールスファネルの作成手順についてみていきましょう。
1.見込み客から顧客になるまでの過程を明らかにする
セールスファネルを作成する際には、見込み客がどのように顧客へと変わるのか、そのプロセスを理解することが重要です。
企業ごとに自社のマーケティング手法や営業ルートが異なるのはもちろん、見込み客が顧客になるまでのステップも企業によって違います。この点をしっかりと認識しておくことが重要です。
例えば、賃貸管理会社の管理受託の場合、新規顧客や既存オーナーからの管理受託までのプロセスをくわしく考える必要があります。見込み客が顧客になるまでの具体的な過程を明確にすることで、貴社に適した営業プロセスが見えてくるでしょう。
2.使用するファネルの選定
次に、どのファネルを使うかを選んでいきましょう。ファネルには、以下の3種類があります。
- パーチェスファネル
- インフルエンスファネル
- ダブルファネル
パーチェスファネル
パーチェスファネルは、「認知」から「購入」までの顧客の購買プロセスを表す基本的なファネルです。このファネルは、AIDMA(アイドマ)という顧客の購買行動モデルに基づいています。
【AIDMAモデル】
- Attention(注意): 顧客の注意を引く
- Interest(関心): 顧客の関心を引きつける
- Desire(欲求): 顧客に欲しいと思わせる
- Memory(記憶): 顧客にその商品を記憶させる
- Action(行動): 実際に購入させる
インフルエンスファネル
インフルエンスファネルは、顧客が商品やサービスを購入した後の行動に焦点を当てたモデルです。顧客が購入後に「継続利用」し、「紹介」し、「発信」する流れを促進することを目的としています。このファネルは、AISAS(アイサス)モデルに基づいています。
【AISASモデル】
- Attention(注意): 顧客の注意を引く
- Interest(関心): 顧客の関心を引きつける
- Search(検索): 顧客が情報を検索する
- Action(行動): 購入行動を取る
- Share(情報共有): 他の人に情報を共有する
ダブルファネル
ダブルファネルは、パーチェスファネルとインフルエンスファネルを組み合わせたモデルで、2つのファネルが連続した流れを作り出すファネルです。このファネルは、顧客の認知から情報発信までの全ての行動を一連の流れとして捉えることができます。
賃貸管理会社の場合、このダブルファネルを活用することで、管理物件の入居者や物件管理の受託に役立てることができるでしょう。
3.ターゲットを定める
次に、自社の商品やサービスを訴求するために、ターゲットとなるペルソナ(人物像)を明確にします。ペルソナは、顧客の特徴やニーズを深く理解するために設定するもので、顧客データ、インタビュー、アンケート、商談担当者からのヒアリングなどの情報をもとに作成します。
ペルソナを設定することで、消費者が認知、興味、意思決定、購入の各段階でどのように行動するかを予測しやすくなり、自社の商品やサービスがどのように消費者と接点を持つかが明確になります。また、入居者が貴社の管理物件に求めるものや、物件管理を委託しているオーナーが期待することを、より深く理解することに役立ちます。
4.ステージごとのプロセスを書き出す
次に、セールスファネルの各ステージ(「認知」「興味」「意思決定」「購入」)において、消費者をどのように次の段階へと進めていくかを具体的に書き出します。
この作業を効率的に進めるためには、カスタマージャーニーを活用することをおすすめします。カスタマージャーニーとは、ペルソナの思考、行動、感情などを時系列で可視化し、商品やサービスが認知されてから購入に至るまでのプロセスを整理したものです。これを用いることで、各ステージにおける消費者の動きをより明確に把握し、効果的な施策を立てやすくなります。
5.ツールを活用する
セールスファネルのどの部分に課題があるかを正確に把握するためには、PV数やコンバージョン率などのデータを収集・分析することが重要です。しかし、この作業には時間と手間がかかります。
そこで、リード管理機能や顧客の興味関心度を把握する機能を備えたセールスファネル管理ツールの導入を検討するとよいでしょう。
また、顧客とのやり取りや反響を管理するために、不動産業務支援ツールを併用するのも効果的です。例えば、『いい生活賃貸クラウド 営業支援』は、問い合わせや反響、追客業務、来店対応などの業務を効率的に管理できるツールです。
例えば、売買仲介業者でリード管理と顧客データ管理のツールが異なる場合、セールスファネルにおける課題や問題を正確に把握することが難しくなり、データの重複やミスが発生するリスクがあります。しかし、『いい生活売買クラウド 営業支援』を使用すれば、これらのミスを防ぎ、セールスファネルの各段階で発生する課題を効率的に分析・管理できるでしょう。
6.実際に運用し、改善点を見つける
セールスファネルの運用を開始したら、ABテストを活用して営業活動の効果や反響数を確認し、継続的に改善を行いましょう。
ABテストとは、例えばお問い合わせフォームやランディングページにおいて、AパターンとBパターンの2つのバージョンを用意し、同じ期間内にランダムに表示させて、その効果を比較する方法です。これにより、どちらのパターンがより高い成果を生むかを検証できます。
また、賃貸管理においての検証では、『いい生活賃貸クラウド 営業支援』を活用できます。分析レポート機能を活用すれば、PDCAサイクルを回しやすくなり、営業活動を改善しやすくなるでしょう。
さらに、売買仲介業者であれば、『いい生活売買クラウド 営業支援』を活用することで、不動産売買の反響や顧客対応、来店対応などの業務を効率化でき、効率よく営業活動を改善でき、生産性の向上も期待できるでしょう。
ファネルの段階ごとの種類
ここからは、ファネルの種類についてみていきましょう。
種類① トップ・オブ・ザ・ファネル(ToFu)
トップ・オブ・ザ・ファネル(ToFu)は、セールスファネルの最初の段階である「認知フェーズ」を指します。この段階では、潜在顧客が自社の製品やサービスにまだ十分な理解を持っておらず、まずは関心を引くことが重要です。
この段階では、潜在顧客に興味を持ってもらうための活動が求められます。具体的には、広告、メルマガ、DM(ダイレクトメール)、営業ツール、ウェブサイトなどを通じて、自社のサービスや商品を知ってもらうことが効果的です。
種類② ミドル・オブ・ザ・ファネル(MoFu)
ミドル・オブ・ザ・ファネルは、トップ・オブ・ザ・ファネルで自社に興味を持ってもらった見込み客がいる段階です。この段階は、商品やサービスについて認知し、関心を持っているものの、まだ購入には至っていない状態です。
この段階には、過去に面談や商品説明を受けたが購入に至らなかった見込み客も含まれます。そのため、関係を維持しながら購買意欲を高めるアプローチが必要です。
具体的には、SNSやブログで見込み客のニーズに合わせた情報を発信したり、イベントやセミナーに招待したりする方法が効果的です。見込み客の属性や興味に合わせた情報やコンテンツを提供し、見込み客が抱える課題を認識させることで、商品やサービスの契約や購入につなげられます。
種類③ ボトム・オブ・ザ・ファネル(BoFu)
ボトム・オブ・ザ・ファネルは、企業と顧客の関係が成熟し、契約や購入が目前に迫ったフェーズです。この段階では、顧客は自分の課題を解決するために情報を集め、各社の商品やサービスを比較検討しています。
このフェーズで必要となるアプローチは、他社と比較しやすい資料の提供や、契約や購入までの具体的なフローの案内、サービスや商品の付加価値を示すことなどです。また、適切なクロージングを行い、顧客を契約や購入へと確実に導くことが求められます。
例えば、不動産業界であれば、問い合わせへの迅速な対応や、漏れのない追客が重要となります。これらの対応を効率的に行うためには、不動産業務支援ツールの活用が有効です。賃貸業務に特化した『いい生活賃貸クラウド 営業支援』や、売買仲介業務に特化した『いい生活売買クラウド 営業支援』を使うことで、顧客の状況に応じた提案が可能になり、成約に結びつきやすくなります。
賃貸管理会社がセールスファネルを活用するメリット
賃貸管理会社がセールスファネルを活用すると、どのようなメリットが得られるのでしょうか?ここからは、具体的なメリットについて解説します。
顧客に合わせて営業活動をパーソナライズ化できる
セールスファネルを活用することで、営業活動を個々の顧客に合わせてパーソナライズできます。具体的には、不動産を検討している人やオーナーの属性、過去の行動や購買履歴に基づき、最適な情報やサービスを提供することが可能になります。これにより、成約率の向上が期待できるでしょう。
歩留まりを改善できる
セールスファネルを理解することで、歩留まりの向上も期待できます。例えば、反響を得ているにもかかわらず成約に至らない場合、営業プロセスのどのフェーズに問題があるかを特定することが重要です。
特に、顧客(入居希望者やオーナー)との接触ポイントに問題がある場合、それを改善することで歩留まりが向上するでしょう。
ターゲットに合わせた効果的なアプローチができる
セールスファネルを理解することで、顧客に最適なアプローチを行うことができます。セールスファネルの初期段階から顧客が受け入れやすい環境を整え、入居希望者に合った営業活動を展開することで、良好な関係を築くことができるでしょう。
セールスファネルの注意点も把握しておこう
セールスファネルにはメリットも数多くありますが、注意しておきたい点もあります。ここでは、具体的な注意点について解説します。
ターゲットとのミスマッチが生じると上手く機能しない
セールスファネルが効果的に機能しないと、ターゲットとのミスマッチが生じてしまいます。ターゲットの属性や特性を正確に理解していない場合、提供するサービスや商品が見込み客のニーズや課題と合致せず、どんなに優れたセールスファネルを構築しても期待する効果は得られません。
ミスマッチを防ぐためには、ターゲットとなる顧客のニーズや解決したい課題を深く理解することが重要です。
一方的な情報発信を避ける
セールスファネルの各ステップでは、見込み客との双方向のコミュニケーションが不可欠です。一方的に情報を伝えるだけでは、見込み客との信頼関係を築くのが難しくなるでしょう。
双方向のコミュニケーションを実現するためには、まず入居希望者が求めている条件をしっかりとヒアリングし、彼らの立場に立った課題解決を心がけることが重要です。
フォローアップを欠かさない
購入や利用後のフォローアップが不十分だと、継続的な利用や他の顧客への紹介を促すのが難しくなります。そのため、サポート体制の強化や、問い合わせ手続きの簡素化・利便性の向上が重要です。
十分なフォローアップを行って賃貸契約の更新率を高め、空室率の低下を目指しましょう。
入居者に迅速でニーズに合ったフォローアップを実現するためには、入居者からの問い合わせ管理や修繕管理を一元化できる賃貸管理業務支援ツールの活用も効果的です。例えば、賃貸管理システム『いい生活賃貸管理クラウド』は、不動産管理会社やオーナー向けのクラウド管理サービスで、賃貸管理業務を一括して管理でき、フォローアップの質を向上させることができます。
賃貸管理会社でもセールスファネルを取り入れた営業を実施しよう
ここまで、セールスファネルについて説明してきました。賃貸管理会社や売買仲介会社でもセールスファネルを取り入れることで、営業活動における課題を明確にでき、改善策を講じることで顧客に対してより適切なサービスを提供できることがご理解いただけたかと思います。
さらに、効果的な営業活動を実現するためには、賃貸管理業務や営業業務をサポートするツールの導入が非常に有効です。例えば、『いい生活賃貸クラウド 営業支援』を利用すれば、問い合わせや反響、追客業務、来店対応などの業務を効率的に行うことができ、業務の効率化が期待できます。
また、売買仲介業者においても『いい生活売買クラウド 営業支援』を活用することで、リアルタイムで反響をキャッチし、潜在的な顧客にも提案など迅速に対応できるでしょう。