不動産会社の経営は、初期投資が少なく少人数でも始められる上、大きなリターンが期待できます。ただ、保証協会への入会や宅地建物取引士の設置など、一般的な会社経営とは違う部分があるため、成功のためのポイントを押さえたうえで、どのような部分でミスが起こりがちなのかを知っておくことが大切です。
そこで今回は、不動産経営を成功させる6つのポイントや陥りがちなミスをご紹介します。さらに、不動産経営に向いている人の特徴についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
不動産会社経営を成功に導くポイント
不動産会社の経営を成功させるためにはさまざまな要素があります。ここでは、とくに大切なポイントを6つに分けて紹介します。
- コストをできるだけ抑える
- 競合をリサーチし差別化を試みる
- さまざまな人脈を築く
- 資格を取得する
- ターゲティングとマーケティングに力を入れる
- システムを導入して業務効率化を目指す
具体的に解説します。
コストをできるだけ抑える
不動産会社の経営は、コストを抑えることで成功に近づけます。利益率を高め、生み出されたキャッシュで事業投資を行っていくことが経営の成功を左右するためです。
コストを削減する方法の一つが保証協会の入会です。保証協会に入会することで、開業の際に必要な営業保証金を10分の1以下に抑えられます。
開業に必要な費用 | |
保証協会に入会しない場合 | 営業保証金1,000万円 |
保証協会に入会する場合 | 弁済業務分担金60万円 |
また、営業支援や事務管理のためにシステムを導入することで、契約や物件管理などにかかる手間や、紙の印刷、保管などのコストを削減できます。管理システムやアウトソーシングなどを活用すれば、作業効率の向上が期待できるでしょう。
作業効率が上がれば営業活動に時間を費やせるため、売上アップにつながります。
競合をリサーチし差別化を試みる
競争が激しい不動産市場において、他社との差別化は重要です。競合をリサーチし、自社の強みを活かした差別化を行いましょう。ターゲット層の顧客ニーズに合う差別化ができれば、集客や成約につながりやすくなります。
他社との差別化を図るには、以下のような手法を利用するとよいでしょう。
- オウンドメディアの運用
- SNSでの情報発信
- 自社ホームページのリニューアル
- ポジショニングメディアの活用
- 仮想現実(VR)による物件見学
- 最新のAIシステムを活用した顧客対応
このようなサービスや強みをターゲット層に合わせて調整し、自社を選んでくれる顧客に徹底的にアプローチしていきましょう。
さまざまな人脈を築く
地主や金融機関、建築業者、法律の専門家(弁護士や司法書士、行政書士)など、さまざまな人と交流して人脈を築いていくことも大切です。人脈があると、顧客獲得や物件売買の依頼など、仕事につながるケースが増えます。
また、地域のコミュニティで信頼関係を築けば、さまざまな物件情報をいち早く掴めるでしょう。独自の情報を獲得できれば他社と差別化を図れるうえに、顧客に対する情報提供の幅が広くなり、満足度や成約率の向上につながります。
資格を取得する
資格の取得は、不動産会社の成功において必要不可欠な要素の一つといえるでしょう。とくに宅地建物取引士の資格は、不動産取引業務を開業する際に、従業員5名につき1名以上の設置が義務付けられています。
他にも、不動産会社の経営には次のような資格が役立ちます。
- 賃貸不動産経営管理士
- マンション管理士
- ファイナンシャルプランナー(FP)
- 不動産実務検定
- 住宅診断士(ホームインスペクター)
資格取得は専門的な知識が身につくため、いい物件の見極めに役立ち、顧客からの信頼も得られるでしょう。おすすめの資格は次の記事で詳しく解説しています。
【関連記事】
不動産経営に役立つ資格一覧!求められるスキルや成功において重要な要素も紹介
ターゲティングとマーケティングに力を入れる
不動産会社の経営はターゲティングも大切です。不動産は対象となる顧客が幅広いため、ターゲットを明確にし、ニーズに合った物件を紹介することで成約率が向上します。
たとえば、学生向けに賃料20万円の物件広告を打ち出しても、成約につながりにくいでしょう。「自社がどのような層をターゲットにするのか」「ターゲットはどのような物件を求めているか」を検討しましょう。
マーケティングは、ターゲットに合わせて手法が変わります。20代の若者をターゲットにする場合、たとえばInstagramやTikTokといった画像や動画がメインとなるSNSの活用が効果的です。一方、高齢者をターゲットにする場合、SNSよりも手に取ってもらいやすいチラシの配布がおすすめです。
システムを導入して業務効率化を目指す
不動産会社を経営すると、契約書作成や情報管理の業務が多く発生するため、効率的に業務を推進するには一元管理システムの導入がおすすめです。一元管理システムを導入することで、顧客とのやりとりが正確かつ迅速になり業務効率を大幅に改善できます。
たとえば、紙の契約書を保存している場合、法律が改正され書類の修正が必要になると、手作業で書き直さなければなりません。しかし、クラウド型の不動産管理システムであれば法改正が起こると提供元企業がアップデートを行うため、自社での対応が不要です。
不動産管理システムには、さまざまな種類があります。『いい生活のクラウドSaaS』の場合、売買仲介と賃貸仲介のあらゆる事務作業に対応することが可能です。サービスの例は以下でご紹介します。
『いい生活のクラウドSaaS』の売買仲介業務支援サービス
『いい生活のクラウドSaaS』は、不動産業界のあらゆる領域に対応したクラウド型の業務支援サービスです。売買仲介業務の課題を解決する支援サービス(システム)は次の通りです。
提供サービス | 解決できる売買仲介管理業務のお悩み |
---|---|
いい生活売買クラウド One | ・不動産ポータルサイトに一括で情報を掲載したい ・販売図面や集合チラシを簡単に作成・出力したい ・売り物件の査定書を簡単に作成したい ・各書面の雛形を最新の法令に自動対応させたい |
いい生活売買クラウド 営業支援 | ・営業活動・追客をさらに効率化したい ・LINEやチャットで効率的に追客したい |
不動産会社向けホームページ作成ツール「いい生活ウェブサイト』 | 集客に強いホームページを作成・運営したい |
電子契約 | 電子契約で印紙代などのコストを削減したい |
ビデオトーク | Web内見やIT重説(Web会議システム)を導入したい |
事務作業や書類作成の効率化を目指したい場合、『いい生活売買クラウド One』が役立ちます。売却査定や販売、広告、顧客情報の管理、売買契約、成績管理など、あらゆる仲介業務をデジタル化できます。
営業に力を入れたい場合には『いい生活売買クラウド 営業支援』がおすすめです。入居希望者からの問い合わせや反響、追客業務、来店対応といった業務の効率化が可能です。
『いい生活のクラウドSaaS』の賃貸仲介業務支援システム
賃貸仲介業務の課題を解決する『いい生活のクラウドSaaS』の支援サービス(システム)は次の通りです。
提供サービス | 解決できる賃貸仲介業務のお悩み |
---|---|
いい生活賃貸クラウド 物件広告 | ・スマートフォンでサッと物件広告を作成したい ・不動産ポータルサイトに一括で情報を掲載したい |
いい生活賃貸クラウド One | 物件チラシや契約書を簡単に作成・出力したい |
いい生活Square(仲介会社向け) | ・出先からでも空室情報を検索・紹介したい ・内見予約や入居申込をオンラインで完結したい |
不動産会社向けホームページ作成ツール「いい生活ウェブサイト』 | 集客に強いホームページを作成・運営したい |
いい生活賃貸クラウド 営業支援 | ・営業活動・追客をもっと効率化したい ・LINEやチャットで効率的に追客したい |
電子契約 | 電子契約で印紙代などのコストを削減したい |
ビデオトーク | Web内見やIT重説(Web会議システム)を導入したい |
『いい生活賃貸クラウド 物件広告』では、いつでもどこでも物件広告を作成できます。『いい生活賃貸クラウド One』を使えば、わざわざゼロから作らなくても、物件チラシや契約書を簡単に作成・出力することが可能です。
『いい生活賃貸クラウド 営業支援』を使えば、営業の効率化もできます。お客様からの問い合わせや反響に対して自動返信メールを送れるので、追客業務や来店対応などの効率化ができます。
不動産会社の経営で陥りがちなミス
不動産会社の経営では注意すべき点もあります。ここからは、不動産会社の経営で陥りがちなミスを4つご紹介します。
- 運転資金を甘く見積もる
- 知名度が低く集客できない
- 営業だけに力を入れてしまう
- 売上に直結しない雑務に時間を割いてしまう
それぞれ解説します。
運転資金を甘く見積もる
開業時に運転資金を甘く見積もると、キャッシュフローが圧迫され、経営状況が著しく悪くなる恐れがあります。最悪の場合、早期に事業の存続が難しくなるでしょう。
不動産事業は商品の性質上、成約に至るまで時間を要します。とくに、売買は成約までに1年近くかかってしまうことも珍しくありません。売買仲介のみを事業としている場合、初年度の1年間は売上がまったく見込めない可能性もあるでしょう。
さらに、不動産会社の経営は事務所の賃料や経費などさまざまな支出も発生します。開業する前に、余裕のある資金計画を立てましょう。
知名度が低く集客できない
できたばかりの不動産会社は知名度がないため、開業当初は顧客獲得に苦労するケースが多いです。大手企業や長く営業している地元企業に比べるとネームバリューがなく、信用性に欠けてしまうため、認知はされても顧客につながらないケースも多いでしょう。
知名度を上げるためには、地道な営業活動を通じて顧客との接点を作ることが重要です。また、ポータルサイトに自社の情報を掲載するなどして、知名度を上げる努力をしましょう。
営業だけに力を入れてしまう
不動産会社を立ち上げると、売上を追い求めて営業だけに力を入れてしまうことも少なくありません。しかし、営業に時間を割いてしまいバックオフィス業務が滞ると、せっかく獲得した顧客からの信用を得られず、長期的な不動産会社の成長や継続が難しくなるでしょう。
不動産事業には、以下のようにさまざまな事務作業があります。
- 契約書や重要事項説明などの書類作成
- 入出金管理
- 帳簿管理
- 顧客対応
- 決算 など
上記の事務作業は不動産事業において必要不可欠であるため、後回しにしてしまうとトラブルに見舞われる恐れがあります。たとえば、契約書の数字にミスがあったりすると、顧客の信頼を損なうことになりかねません。
営業だけに力を入れるのではなく、業務全体に目を向け、バランスよく取り組むことが重要です。
売上に直結しない雑務に時間を割いてしまう
上記とは反対に、事務作業ばかりに手をとられると、売上は伸びにくくなります。事務作業は、顧客の獲得に直接結びつかない作業です。したがって、不動産会社の経営を成功させるには、営業と事務両方を効率的に進めることが求められます。
事務の作業を効率的に進めるうえで重要なのが一元管理システムです。たとえば、当社の『いい賃貸管理クラウド』を使用すれば、物件データや顧客情報などの細かく膨大なデータ管理を一元化できます。結果、事務作業を効率化できるので、空いた時間に営業活動を行ったり、自社の宣伝活動ができたりと時間を有効活用できます。
不動産会社を経営する魅力
不動産事業は成約までに時間がかかったり事務作業が多かったりと大変な面もありますが、魅力的な部分も多くあります。ここからは、不動産会社を経営する魅力を4つご紹介します。
- 初期費用が少ない
- リターンが大きい
- 節税効果が期待できる
- 少人数で始められる
それぞれ解説します。
初期費用が少ない
不動産会社は、比較的少ない初期費用で立ち上げられます。物理的な在庫を持つ必要がないためです。
たとえば飲食店を開業する場合、家賃のほかに食材や機材などを用意しなければなりません。規模によっては、数千万円以上の初期費用が必要になる可能性もあるでしょう。
一方、不動産会社は法律に基づいた条件をクリアしていれば、事務所だけでも営業を始めることが可能です。事務所の規模や従業員数にもよりますが、400万円~1,000万円ほどで開業できるでしょう。
リターンが大きい
不動産取引は取引額が大きいため、一件の契約で大きな収益を手に入れられる可能性があります。特に、売買仲介は高いリターンを得られる可能性があるでしょう。
仲介売買の場合、手数料は次の計算でもとめられます。
(売買価格×3%+6万円)+消費税 ※参考:国土交通省|宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額 |
たとえば、3,000万円の物件を仲介した場合、約96万円の仲介手数料が発生します。売主と買主の双方を仲介した場合、倍の約192万円を受け取れます。このように一度の取引で高額な収益を生み出せるのが不動産経営の魅力です。
節税効果が期待できる
不動産会社を設立すると、個人事業主よりも節税効果が期待できる可能性があります。法人税の税率は、所得税のような超過累進税率ではないためです。
個人事業主の場合、得られた所得に所得税が課せられます。所得税率は、5%~45%と所得金額によって変わる累進課税です。一方で、法人税は所得金額によって税率が上がることはなく、資本金1億円以下の普通法人や、一般社団法人等または人格のない社団等については23.2%と一律です。
このように、所得金額が大きくなるほど、法人化するメリットが多くなります。ただし、利益によっては法人税率より所得税率の方が低くなる場合もあるため、注意が必要です。
少人数で始められる
不動産会社は少人数でも始められる点が魅力です。2023年の不動産業統計集によると、従業員数が1~4人の割合は、全産業が57.4%に対して不動産業は86.1%となっています。
また、全国宅地建物取引業協会連合会によると、全国の宅地建物取引業者約12.5万社のうち約8割が法人、約2割が個人で経営している状況です。このように、多くの不動産会社が少人数で経営しているとわかります。
詳しくは次の記事を参考にしてください。
【関連記事】
個人で不動産会社を経営することは可能?平均年収やメリット・デメリットも解説
※参考:公益財団法人不動産流通推進センター|2023年不動産業統計集
不動産会社の経営に向いている人の特徴
どのようなタイプの人であれば不動産経営に取り組みやすく、成功を持続していけるのでしょうか。ここからは、不動産経営に向いている人の特徴として、以下の3つをご紹介します。
- 積極的に行動できる人
- 自責思考できる人
- 営業力やコミュニケーション能力がある人
積極的に行動できる人
不動産業界では、新規顧客の獲得や不動産取引に関する情報収集を積極的にできる人が望ましいでしょう。競合が多いことから、迅速な決断や行動が求められる業界であるためです。
日用品と違い、不動産の購入は顧客1人で何軒も購入するわけではないため、素早く積極的に行動しなければ、競合に先を越されてしまいかねません。
どのような状況でも即座に考え行動できる人が、不動産会社の経営に向いています。
自責思考できる人
不動産会社の経営に向いている人には、自らの考えで判断し責任を持つ「自責思考」ができる人も当てはまります。不動産市場は法改正が多いうえに、顧客のニーズやトレンドも時間とともに変化していくためです。
施策がうまくいかない時に「他に自分にできることはなかったか」と、他者の責任にはせず、自責による思考で次の施策を考えられる人は向いているといえるでしょう。
営業力やコミュニケーション能力がある人
不動産会社の経営には、営業力やコミュニケーション能力も重要です。商品が高額であるため、顧客に信用してもらわなければ成約にはつながりません。
物件のよさをアピールするだけでなく、顧客が求める条件を深堀りしたり、顧客自身が気付いていないニーズをいち早く察知したりする能力も求められます。
不動産会社を始めたい方は『いい生活のクラウドSaaS』の活用のご検討を
不動産会社の経営を成功させるポイントは、できるだけコストを抑えつつ、営業業務と事務作業を効率化することです。日々の業務に追われてしまうと売上を伸ばせず、さらにコストがかさんでしまいかねません。
そこで、不動産会社の経営に役立つのが、さまざまな業務の効率化に活用できる『いい生活のクラウドSaaS』などの一元管理システムです。契約情報や顧客情報などのデータの一元化はもちろん、安価で導入できるうえに、土・日・祝日のサポートも充実しています。導入をお考えの場合、まずはお気軽にご相談ください。