不動産取引における重要事項説明書とは?内容や説明方法も解説

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不動産取引における重要事項説明書とは?内容や説明方法も解説

不動産の売買や賃借といった契約時、顧客に対して重要な事項を説明するのに必要なのが重要事項説明書です。不動産業を営むのであれば、その内容を理解しておく必要があります。ここでは、重要事項説明書の基本情報に加えて、記載する内容や対面以外での説明方法を解説しています。 

書類の役割や目的に加え、重要事項説明書に記載してある内容などをご紹介します。対面以外で実施する方法についてもお伝えするので、重要事項説明書について理解したい方や業務を効率化させたい方は参考にしてください。 

不動産取引で必要となる「重要事項説明書」とは

不動産取引で必要となる「重要事項説明書」とは

不動産取引には欠かせない重要事項説明書について解説していきます。 

物件の状態や権利の状況などを詳しく説明する書類 

不動産売買や不動産仲介を行う場合、買主や借主に対して、対象となる物件の状態や権利の状況、取引状況などの重要事項を契約が成立するまでに説明しなければいけません。それを「重要事項説明」といいます。

重要事項説明書は、説明をする際に用いられる書類です。 重要事項説明は難しい内容も多く、内容を聞いただけでは理解できないケースもあります。しかし、重要事項説明書があれば、目で見て内容を理解してもらうことが可能です。説明に納得が得られれば、重要事項説明書に署名や捺印をしてもらい、その後契約へと進んでいきます。 

重要事項説明はトラブルを防ぐことが目的 

重要事項説明書を用いて実施する重要事項説明は、「聞いていない」「知らなかった」といったトラブルを防いで買主や借主を保護することが目的です。中には、「重要事項説明の省略」を求めてくる買主や借主もいます。しかし、重要事項説明は宅建業法によって定められた義務なので省略はできません。

万が一、重要事項説明を怠った場合は、違反となり罰則が科される可能性があります。宅建業者が重要事項説明を怠った場合は、1年以下の業務停止処分を受ける可能性があり、この処分を守らなければ免許取消処分が科されるケースもあります。宅建業法では、上記のほかにも懲役や罰金といった罰則が規定されており、重要事項の説明を怠った場合は「2年以下の懲役または300万円以下の罰金、もしくは併科」と規定されています。 

重要事項説明は宅地建物取引士が実施する 

重要事項説明は、不動産会社が行うのではありません。説明義務を負うのは業者ですが、説明を担当するのは、宅地建物取引士です。専任の宅地建物取引士である必要はありませんが、重要事項説明書に説明を行った宅地建物取引士の記名が必要となります。

また、重要事項説明をする際には宅建士証を提示する必要もあります。これは宅地建物取引業法の定めで、違反した場合は罰則を受ける可能性があるので注意してください。宅建士証の提示義務を怠ると、「10万円以下の過料」が科せられます。 

重要事項説明書の内容は大きく分けて3種類

重要事項説明書の内容は大きく分けて3種類

重要事項説明書に記載する内容は以下の3種類です。

  • 取引物件に関する事項
  • 取引条件に関する事項
  • その他の事項

それぞれの詳細をみていきましょう。

取引物件に関する事項 

主な記載内容は以下のとおりです。主に売買の際に記載される内容となっています。

  • 登記に記載されている権利の種類や内容など
  • 法令上の制限について
  • 道路との関係について
  • 給排水、ガス、電気などのインフラ整備に関する内容
  • マンションの場合は、共有部分の規約や敷地の権利など
  • 既存の建物があれば建物状況の調査概要

注意すべき点の1つに法令上の制限があります。都市計画法では、用途地域や地域地区、建築基準法では建ぺい率や容積率、高さ制限といった情報を記載します。制限によって建築できる建物の階数や用途に決まりがあり、リフォームにも影響を与えるため、重要な項目です。説明の際にも買主にわかりやすく伝える必要があります。 

道路に関しては、原則として建物の敷地が道路に2m以上接していないと建物が建てられません。また、建築物の敷地の前面にある道路幅が4m未満であれば、道路に面する一定部分をセットバックさせる必要があることを記載する必要があります。その場合、道路の種類や面積、負担金の有無などの記載も必要となります。

インフラ整備では、上下水道が整備されていないなどの給排水設備の有無のほかに、公営か私設かなども細かく記載しましょう。既存の建物を売買するケースでは、宅地建物取引士による建物状況調査の実施有無や結果などの記載が必要です。

取引条件に関する事項 

主な記載内容は以下のとおりです。

  • 契約解除に関する内容
  • 損害賠償額の予定や違約金に関する内容
  • 手付金の保全措置について
  • 支払金や預かり金の保全措置について
  • 金銭の貸借に関する内容

取引条件に関する項目では、主に契約の条件や支払う金額に関する内容を記載する必要があります。例えば、契約を解除できる場合は、「どういった場合に解除できるのか」などについて内容を記します。また、その際に必要となる手続きについても記載しなければいけません。 

損害賠償額については、定めがあればその額や内容を記し、定めがない場合はその旨を説明する必要があります。

金銭の貸借に関する内容では、住宅ローンの金融機関や金利などを記載します。都市銀行や地方銀行といった曖昧な記載をせず、正しく金融機関名を記してください。 

また、賃貸物件を契約する際の重要事項説明では、以下のルールについて記載する必要があります。

  • 家賃
  • 更新料や更新手数料
  • 保証料
  • 退去予告の期限について
  • 禁止事項
  • 設備に関する内容
  • インフラ設備
  • 原状回復について
  • 特約事項
  • 連絡先

正しい記載がなければ曖昧となり、退去時にトラブルを引き起こす可能性もあります。細かく記載するようにしましょう。

その他の事項 

主な記載内容は以下のとおりです。

  • 国土交通省令、内閣府令に関する内容
  • 割賦販売や信託財産に関する内容
  • 容認事項

取引物件、取引条件のほかには、当該物件が土砂災害警戒地域内に所在する場合、そのことを説明する必要があるほか、水害ハザードマップにおける対象物件の所在地の説明なども必要です。

また、通風を妨げる建築物や日照を妨げる建築物、騒音が生じる施設が新たに建つ計画があるなど、物件の周辺環境で告知すべき項目があれば記載する必要があります。行政による将来計画の有無も記しておくと、買主や借主にとって役立つはずです。 

不動産の告知書とは何か?記載されている内容は?

不動産の告知書とは何か?記載されている内容は?

重要事項説明書以外にも作成すべき書類は複数あります。その1つが「告知書」です。どういった書類なのかみていきましょう。 

売主が買主に物件の状況を説明する書類が告知書 

売主や貸主が知っている情報を提供する書類が告知書です。「物件状況確認書」とも呼ばれています。その名のとおり、物件の状況を確認できる書類となっており、契約書に添付して交付されることが一般的です。作成は義務ではないので、提出しないからといって罰せられることはありません。

ただし、国土交通省の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」によれば、告知書の提出が推奨されています。 例えば、建物の不具合や経年劣化などを記載し、それらに対する修理や補修を実施していれば、その旨も記載すると好印象を与えられるでしょう。

また、購入後に家や土地の損傷や不具合、周辺環境に関してクレームが来た場合、告知書に記載してあればトラブル防止にもつながります。

告知書には雨漏りや土壌汚染の可能性なども記載する 

告知書に記載すべき事項は以下のとおりです。

  • 雨漏り
  • シロアリによる被害
  • 家屋の損傷
  • 耐震診断の有無
  • 石綿使用調査結果
  • 地盤沈下
  • 境界越境
  • 騒音や振動、臭気など、環境に影響を及ぼす施設の有無
  • 電波障害の有無
  • 事件や事故、火災の有無
  • リフォーム履歴

損傷があれば記載し、修繕した場合はその旨も記載します。不明な点があれば「不明」と記載しておきましょう。なお、告知書に虚偽の内容を記載した場合、瑕疵担保責任や債務不履行といった責任を負う可能性があるので、正しい内容を記載する必要があります。消費者契約法によって契約が取消となるケースもあるので注意してください。 

不動産取引における重要事項説明の方法は対面以外も可能

不動産取引における重要事項説明の方法は対面以外も可能

重要事項説明は対面での説明が一般的でしたが、近年ではオンラインでの説明も増加しています。ここでは、オンラインでの重要事項説明が導入された背景ならびにその条件などを解説していきます。 

オンラインでの重要事項説明が解禁 

賃貸借契約や不動産売買においては重要事項説明が義務化されていますが、対面だけでなく、ビデオ通話を用いた非対面での説明が可能です。このIT重説は、2017年10月から賃貸契約に限って先行導入され、2021年からは売買契約でも解禁となりました。 国土交通省によるマニュアルも作成されているので、説明の際には確認するようにしましょう。 

参考:国土交通省「ITを活用した重要事項説明 実施マニュアル

オンラインでの重要事項説明が導入された背景 

前述のように、重要事項説明は必ず実施しなければいけない手続きです。しかし、契約者が遠方に住んでいる場合や外出が難しい場合には対応が難しいという課題がありました。その課題を解決するために誕生したのがIT重説です。

2015年から2017年に登録した事業者のみに限定して社会実験を行った結果、一定の条件下であれば支障がないと判断され、2017年の10月から賃貸契約に限って運用がスタートしました。 

その後、コロナ禍による非接触型サービスの推奨で有効性が認められ、目立ったトラブルもないことから2021年から売買契約でも開始され、本格的な運用がスタートしました。 

オンラインで重要事項説明を行う際の条件 

オンラインで重要事項の説明をする際の条件は以下のとおりです。

  1. 宅地建物取引士が実施する
  2. IT重説ができるように双方のIT環境を整える
  3. 必要書類(重要事項説明書など)を事前に送付する(電子書面でも可)
  4. 説明をスタートする前に書類の準備やIT環境の確認を実施する
  5. 宅地建物取引士証を視認できたか確認する

IT重説であっても、説明は宅地建物取引士しか行うことができません。宅建取引士証を提示する際には、契約者が正確に視認できたかどうかを確認するために名前を読み上げてもらうといった対策が必要です。双方が円滑に質問や相談ができるよう、IT環境を整えておく必要もあります。トラブルを起こさないためにも、上記の条件に当てはまっているかどうかをしっかりと確認してください。 

ビデオ通話となるとアプリのダウンロードやアカウントの作成など、手間がかかります。しかし、クラウド型業務支援サービス会社が提供するサービスの中には簡単に導入できるものもあります。例えば『いい生活のクラウドSaaS』が提供する『ビデオトーク』は、Webブラウザでのビデオ通話が可能なので、面倒な事前作業は必要ありません。操作性もシンプルなのでマニュアルも不要です。 

セキュリティやサポートも充実しており、IT重説だけでなくWeb接客、Web内見やオンライン入居審査など、幅広く活用できますので、ぜひ活用を検討してみてください。

オンラインで重要事項説明を行うメリット 

オンラインで重要事項説明を行うメリット 

オンラインで重要事項説明ができると、さまざまなメリットが得られます。どのようなメリットが得られるのか解説していきます。 

顧客の負担が軽減される 

対面での重説と比べると、IT重説は顧客の負担を軽減できます。例えば、遠方に住んでいる契約者の場合、対面での説明となると時間をかけて移動しなければいけません。加えて交通費も発生します。日帰りが難しい場合は宿泊費も発生するため、契約をするだけでも大きな費用が発生する点がデメリットです。 

しかしIT重説であれば、わざわざ店舗まで足を運ぶ必要がありません。移動にかかる時間や交通費をかけることなく重要事項説明が受けられるので負担を大きく減らせます。 

顧客とのやり取りを記録として残すことができる 

口頭での説明の場合、内容をめぐって後々トラブルになるケースもあります。細かいやり取りに関しては失念してしまうこともあるため、対応で苦慮するといったケースも少なくありません。しかし、オンライン重説であれば、顧客とのやり取りを録画できます。問題が発生した場合は録画を見直すことができるので、問題解決に役立つでしょう。 

ただし、録画や録音は顧客の許可を得る必要があります。事前に録画や録音をする旨はしっかりと伝えておきましょう。 

感染症対策として有効 

IT重説は非対面でのやり取りなので、感染症対策としても有効です。新型コロナウィルスのような感染症は今後も発生する可能性があります。緊急事態となった場合でも、オンライン環境を整えていれば安定して業務を続けられるでしょう。 

インフルエンザや麻疹など、感染症を懸念して外出を控えたい顧客も中にはいます。そんなときでもオンラインで重説を受けられることがわかれば、契約にも良い影響を与えるかもしれません。 

オンラインで重要事項説明をするための準備

オンラインで重要事項説明をするための準備

IT重説を実施する場合、事前準備が必要になります。ここでは、IT重説を実施するにあたって用意すべきものを解説していきます。 

インターネット環境を整える 

IT重説はオンラインでやり取りするため、インターネット環境を整える必要があります。説明をしている最中にフリーズをしたり映像が途切れたりすれば、そのたびにやり取りを中断しなければいけません。 

事前にテストを行い、必要であればプランや回線の整備を実施してください。また、顧客に対しても事前にアナウンスし、インターネット環境が整備されているか確認しましょう。 

ビデオ通話ツールを用意する 

IT重説では、宅建士証の提示を行い、契約者が宅建士証を視認できたか確認しなければなりません。そのため、音声のみではなく映像をやり取りできる環境も必要となります。 

なお、ビデオ通話ツールにはさまざまな種類・機能があります。ツールによって違いがあるので、使用環境に合ったものを選ぶようにしましょう。重要事項説明は、幅広い年代の方が対象となるはずです。ビデオ通話などに慣れていない方でも直感的に利用できるようなシンプルなツールを選ぶと良いでしょう。 

重要事項説明を含めて業務効率化を目指すなら不動産管理システム『いい生活のクラウドSaaS』の導入を

重要事項説明を含めて業務効率化を目指すなら不動産管理システム『いい生活のクラウドSaaS』の導入を

『いい生活のクラウドSaaS』は、不動産業界向けのクラウド型業務支援サービスです。重要事項説明や契約などの業務に活用できるサービスは以下のとおりです。 

提供しているサービス業務の悩み
いい生活売買クラウド One不動産ポータルサイトに一括で情報を掲載したい販売図面や集合チラシを簡単に作成・出力したい売り物件の査定書を簡単に作成したい各書面の雛形を最新の法令に自動対応させたい
いい生活賃貸クラウド One物件チラシや契約書を簡単に作成・出力したい
電子契約電子契約で印紙代などのコストを削減したい
ビデオトークWeb内見やIT重説(Web会議システム)を導入したい

事務作業や書類作成は時間を要するため効率化を目指せば手間や時間を省けます。その際には、『いい生活売買クラウド One』や『いい生活賃貸クラウド One』の活用がおすすめです。どちらも最新の法改正に対応した重要事項説明書や契約書を利用でき、管理をデジタル化できます。 

また、電子契約でのコスト削減を目指したいなら『電子契約』の活用がおすすめです。今回ご紹介したIT重説を始め、Web内見やオンライン入居審査、オンライン営業など、オンラインを活用した業務を実施する際には『ビデオトーク』の活用が役立ちます。

重要事項説明を理解して業務を行おう

重要事項説明を理解して業務を行おう

不動産の売買や賃貸契約では、重要事項説明を行わなければいけません。以前は対面のみでの実施でしたが、現在はオンラインでの説明が可能です。活用するためにはITツールを導入するほか、通信環境を確保する必要がありますが、IT重説を取り入れれば遠方に住んでいる顧客に対応する際もわざわざ店舗まで足を運ぶ必要がなくなるため、コストや移動時間など、顧客の負担が軽減します。ビデオ通話の内容は記録を残すことも可能なので、問題解決にも役立つなどメリットが多いでしょう。

その際、今回ご紹介した『ビデオトーク』を活用すれば、IT重説だけではなく、Web内見やオンライン入居審査など、さまざまなオンライン営業に活用できます。Webブラウザでビデオ通話が可能なので、顧客はアプリのインストールやアカウントの作成をする必要がなく、手間なく活用することが可能です。操作もシンプルなのでマニュアルも必要ありません。IT重説の導入を検討し、『ビデオトーク』に興味をお持ちであれば、以下のURLから『いい生活のクラウドSaaS』に相談してみてください。

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