
不動産会社の集客において、SNSはもはや欠かせない存在となっています。写真や動画による視覚的な訴求や拡散力を活かせば、従来の不動産ポータルサイトでは届きにくかった潜在層へのアプローチが可能です。
一方で、フォロワー数や「いいね」が増えても、それだけでは成約に結び付かないのが現実です。成果を得るためにはSNSの特性を理解し、効果的に活用するためのさまざまな取り組みが欠かせません。
この記事では、主要なSNSの特徴、効果を高めるための分析・改善、さらにホームページとの連携による成約までの導線設計などをまとめています。SNSを単なる情報発信で終わらせず、来店・成約といった成果につなげるためのヒントについて解説します。
不動産集客にSNSが欠かせない理由

不動産集客においてSNSの重要性が増している理由は、低コストで潜在層にリーチでき、認知拡大と信頼構築の両方を実現しやすいことにあります。
写真や動画を活用することで物件や暮らしの魅力を直感的に伝えられ、フォロワー以外の潜在顧客にも情報が届きやすいことも理由の1つです。広告出稿に大きな予算を割かずに始められる点も中小規模の不動産会社にとっては大きな利点といえるでしょう。
さらに、コメントやメッセージでユーザーと直接コミュニケーションを取りやすいことも挙げられます。コミュニケーションを通じて企業や物件に対する安心感を高めることで、問い合わせや来店といった次の行動につなげやすくなります。
こういったさまざまな特長を持つSNSは、不動産ポータルサイトではリーチしづらい層への新しいコミュニケーションチャネルとして、今後ますます重要性が高まっていくでしょう。
各SNSの特徴

不動産集客でSNSを取り入れる際には、媒体ごとに利用者層や得意分野が異なります。視覚的な訴求に強いもの、拡散力に優れたものなど、それぞれのSNSごとに強みがあります。不動産集客で成果をあげるためには、これらの違いを踏まえたうえで、戦略的に使い分けることが求められます。
ここでは、主なSNSごとの特長や、不動産集客にどのように活かすことができるのかについて具体的に見ていきます。
Instagramは20〜30代を中心に利用が広がっているSNSです。投稿の中心は写真や動画で、視覚的な印象で興味を引く仕組みが特徴です。不動産集客においては、インテリアやライフスタイルへの関心が高い層に対し、写真や動画を通じた「暮らしのイメージ」の訴求と相性がいいです。
物件の検索では「#駅名+賃貸」「#リノベーション物件」といったハッシュタグが広く使われています。検討段階のユーザーが積極的に情報収集しているため、統一感のある写真投稿やハッシュタグを効果的に組み合わせることが有効です。
また、短尺動画の「リール」や24時間で自動的に消える「ストーリーズ」といった特徴的なコンテンツも活用できます。それぞれの特性を適材適所で使い分けることで、関心を持ったユーザーの行動を後押しし、問い合わせや来店につなげることが可能です。
TikTok
TikTokは10〜20代を中心に利用されていますが、近年は住宅購入を検討し始める世代の30代にも広がっています。投稿は、数秒から数分の短尺動画が中心で、広告感を出さずに気軽にアップロードできるため、物件探しをしていない潜在層にも情報が届きやすいです。
不動産会社の集客においては、短尺動画でのルームツアー、リフォームのビフォーアフター動画を投稿するといった活用の仕方が広がっています。家賃相場や部屋探しのコツといった豆知識を短くまとめたコンテンツも効果的です。
また、動画内やプロフィールにURLを記載し、自社サイトや自社SNSへの導線をつくっておくことも重要です。ユーザーはこうした動画を保存(ブックマーク)して見返すことこともあるため、ニーズが顕在化した際にアクセスするきっかけとなります。
YouTube
YouTubeは10代から50代以上まで幅広い世代に利用されています。とりわけ、比較検討段階のユーザーが詳細な情報を求めて動画を視聴する傾向が強いプラットフォームといえるでしょう。
InstagramやTikTokは新しい投稿がタイムライン上で流れていく「フロー型」で、旬な話題や一時的な拡散に強いのに対し、YouTubeは時間が経っても視聴されやすい「ストック型」のSNSです。Google検索の結果一覧やYouTube内の関連動画と紐づけて表示される仕組みにより、投稿から時間が経過しても新たな視聴者の流入が見込める点が強みといえるでしょう。
不動産の集客においては、数分から数十分の長尺動画で物件や周辺環境を丁寧に紹介する、契約手順を解説するといったコンテンツが有効です。これらの動画は蓄積されることで資産となり、長期的に集客効果を発揮します。検討段階のユーザーにとっては、判断材料として役立つだけでなく、不安の解消にもつながり、最終的な意思決定を後押しする役割を果たします。
X(旧Twitter)
Xは速報性と拡散力に優れたSNSで、新着物件やキャンペーン情報などの即時性が求められる情報発信に適しています。
ユーザーが「いいね」やリポストすることで拡散されるため、投稿が一気に多くの人に届けやすいです。また、検索機能も強力で、地域名や物件種別のハッシュタグを活用すれば、物件を探している顕在層に効果的にアプローチできます。
さらに、防災や地域ニュースといった暮らしに役立つ情報を共有することで、地域に根ざしたブランドイメージを形成することも可能です。情報の速報性と拡散性を生かしつつ、地域密着の姿勢を伝えられるのがXの大きな強みといえるでしょう。
Facebookは、特に中高年層の利用比率が高いことが特徴です。住宅購入や住み替えを検討する世代と重なるため、不動産集客との親和性が高いSNSといえるでしょう。
加えて、広告機能のターゲティング精度が高く、年齢・性別・エリアなどの特定の条件に配信しやすいことも強みです。地域や属性(ファミリー層やシニア層など)を狙った集客に適しています。
さらに、Facebookページではイベント情報の掲載や申込み受付が可能で、内覧会や相談会といったリアルなイベントへの集客にも活用しやすいです。
LINE
LINEは全世代に幅広く浸透し、生活インフラとして定着しているSNSです。メッセージはプッシュ通知で届くため開封率が高く、空室情報やキャンペーン告知を確実に届けられるのが特長です。
また、公式アカウントを通じてユーザーと継続的に接点を持てるため、物件情報の更新案内や問い合わせ対応にも活用できます。
さらに、電話やメールよりも気軽にやりとりできるため、顧客との関係を長期的に維持しやすいのもメリットです。LINEは、不動産会社にとって顧客とつながり続けるための有効な橋渡し役といえるでしょう。
SNS集客の効果測定と改善サイクル

不動産集客でSNSを活用する場合、問い合わせ件数や来店数などの具体的な成果指標を適切に設定することが重要です。そのうえで、これらに関する定期的な分析と改善を繰り返し、PDCAを回していくことが求められます。
各SNSに実装されている分析機能や、Google Analyticsなどを活用し、投稿の時間帯、フォーマット、テーマごとの反応を分析することで改善点を具体的に把握していきましょう。
また、成果指標の設定を媒体ごとに設定することも大切です。たとえば、Instagramでは保存数、TikTokでは再生数と拡散率などが挙げられます。
これらのデータを月次で確認し、改善案を立案して翌月の施策に反映させることを繰り返すことで、成果を安定的に積み上げていくことができます。
不動産集客でSNSを活用する際の注意点

SNSは不動産集客に大きな可能性をもたらす一方で、発信内容を誤ると信頼を損ない、逆効果となってしまうリスクもあります。
特に、不動産や住宅は取引金額が大きく、生活の基盤に直結するため、表現の正確性や法令順守の姿勢が欠かせません。そのためにも、誤投稿を防ぐ仕組みやノウハウを持つ人材の育成、長期的に運用を続けるためのリソース確保などが重要になります。
ここでは、不動産会社がSNSを活用するうえで注意すべきポイントをまとめます。
投稿前のチェック体制を整える
SNSは拡散力が大きいため、わずかな言葉選びや伝え方の誤りであっても誤解や炎上につながることがあります。特に不動産は取引金額が大きいことに加え、安心や安全といった生活の根幹に直結するため、誤った情報を発信すれば顧客の期待を大きく裏切る結果となりかねません。
こうしたリスクを避けるためには、投稿前の事実確認や表現チェックを複数人で行う仕組みを整えることが求められます。従業員の個人投稿も含め、SNS運用のガイドラインを設けて情報精度を担保することが長期的な信頼維持に欠かせません。
不動産広告における法令順守を徹底する
不動産の集客でSNSを活用する際は、宅地建物取引業法や景品表示法などの広告規制を遵守していることが前提となります。特に、成約済み物件を「募集中」と見せかける「おとり広告」や、条件を実際より良く見せる誇大表現などは、明確に禁止されています。
SNSは拡散性が高いため、こうした不適切な投稿が広まれば信頼を損なうだけでなく、業界全体への不信感を招く恐れもあります。集客を目的とした情報発信であっても、法令に基づいた正確かつ適切な広告表現を徹底する姿勢が求められます。
法令違反や誤投稿を防ぐために承認フローを導入する
SNS投稿における法令違反や誤投稿を防ぐためには、SNS投稿の承認フローを設けることが有効です。具体的には、担当者が原稿を作成し、チェック担当が確認、責任者が承認して 投稿するといった流れになります。
承認フローを設けることで誰がどの段階で責任を持つかを明確にできるため、確認作業の形骸化を予防し、見落としや判断の抜け漏れを防ぐことが可能です。
さらに、広告表現に関する研修やSNS編集スキルの習得を通じて、SNS運用のノウハウを持つ人材を確保・育成することも欠かせません。承認フローと人材育成の両面からリスクを抑えることで、法令違反や誤投稿を未然に防ぎ、信頼性の高い情報発信を継続できます。
継続的な運用に必要なリソースを確保する
SNS集客はすぐに成果が出るものではなく、継続的に投稿を行うことで効果を高めていきます。加えて、コメント返信や問い合わせ対応、分析等の細かな運用作業も必要で、一定のリソースを確保したうえで運用していく必要があります。
その一方で、日常業務と並行してSNSの運用を継続していくことは負担が大きく、コア業務を優先した結果、更新が滞ってしまうといったケースも少なくありません。
SNSで安定的に情報を発信し続けるために、担当者を明確に決め、複数の担当者で役割を分担する工夫が欠かせません。また、リソースに余裕がない場合は、外部に一部業務を委託しすることを検討してもよいでしょう。
たとえば、画像や動画の制作、投稿データの分析などを外注すれば、不動産業務の戦略立案や顧客対応といったコア業務に社内リソースを集中させることが可能です。
SNS活用で成果を生むための顧客導線設計とは?

不動産会社におけるSNS集客は、新たな顧客接点を広げる有効な手段ですが、フォロワー数や「いいね」の獲得だけでは成約にはつながりません。
SNSでの集客で大切なのは、SNSで獲得した見込み客を自社サイトやポータルサイトへと誘導し、最終的に資料請求や来店予約といった行動につなげる導線を設計することです。
ここでは、SNSの活用で成果を生むための顧客導線設計の具体的なポイントについて解説します。
ホームページとの連携で成約率を高める
SNSは潜在層への認知拡大には有効ですが、投稿を見ただけで即座に資料請求や契約につながるケースはあまり多くありません。そのため、ポータルサイトや自社ホームページへのリンクを設置し、物件詳細ページや問い合わせフォームといった次の行動につながる導線を整えることが大切です。
ただし、ホームページを常に更新し、SNSからのアクセスに適切に対応できるようにするには運用の手間がかかります。たとえば、SNSの発信内容に合わせて特集ページを用意することは効果的ですが、手間やコストを考えると、費用対効果で見合わないといったケースが少なくありません。
こうした課題を解消するためには、不動産会社向けホームページ作成ツールの活用が有効です。『いい生活ウェブサイト』は、不動産会社専用に設計されたホームページ作成サービスで、SNSで集客した顧客を成約へつなげるために有効な機能を備えています。
たとえば、HTMLやCSSの知識がなくても、画像や文字の配置やレイアウト、色の設定を画面操作だけで簡単に編集できます。SNSとホームページの訴求内容やトンマナを一致させれば離脱防止につながるため、柔軟かつ手軽にホームページを更新できる仕組みが欠かせません。
さらに、特集ページや問い合わせフォームのカスタマイズ性が高く、用途に合わせて簡単かつスピーディーに編集できます。これらの機能を活用すれば、SNS投稿からホームページでの問い合わせ・成約への導線を効率的に構築・運用でき、長期的な成果につなげやすくなります。
集客力を高めるためにSNSとホームページの連携を強化しよう

不動産会社の集客にとってSNSは、潜在層への認知拡大やユーザーとの関係構築に欠かせないツールです。しかし、フォロワー数や「いいね」の獲得だけで成果が得られるわけではなく、来店や契約といった行動につなげるための導線設計が重要になります。
そのためには、各SNSの特性の理解を深めることに加えて、ホームページとの連携を意識し、物件詳細ページや問い合わせフォームへ自然に誘導する仕組みを整えることが求められます。
『いい生活ウェブサイト』をはじめとする不動産会社向けのホームページ作成サービスを活用すれば、ホームページに関する専門知識がなくても情報更新や特集ページ作成を簡単・手軽に行うことが可能です。SNSの拡散力と自社ホームページの連携を強化し、不動産会社の集客力を持続的に成長させていきましょう。
・執筆者

株式会社いい生活 マーケティング本部
マーケティング部
広報部
全国の不動産市場向けイベント、セミナーなどにて多数登壇、皆様のお役に立つ最新情報を発信しております。