BPaaSにはどんなメリットがある?注意点や成功させるコツをご紹介

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BPaaSにはどんなメリットがある?注意点や成功させるコツをご紹介

各企業では、業務の効率化やDX(デジタルトランスフォーメーション)が推進されています。そんな中、注目を集めているのがBPaaSです。BPaaSとは、業務プロセス全体を外部に委託し、IT技術を活用して業務を効率化させる新しいサービス形態を指します。

この記事では、BPaaSの概要に加えて、他のサービスと異なる点や活用する上でのメリット、注意点などをご紹介していきます。BPaaSの導入を成功させるためのポイントも解説しますので、業務効率化を目指している企業担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。

BPaaSとは?

BPaaSとは?

まずは、BPaaSがどういったサービスなのかについて、その概要や他のサービスとの違い、市場規模や注目されている背景についてみていきましょう。

BPaaSの概要

BPaaS(ビーパース)は、「Business Process as a Service」の略語で、業務プロセスのアウトソーシングサービスを意味します以下は、BPaaSで外部に委託できる業務の一例です。

  • 給与計算
  • 調達管理
  • 人事管理
  • アプリケーションの実行
  • 自動化タスクの実行 など

さまざまな業務をBPaaSへ外注すると、社内リソースをコア業務に集中させられるだけでなく、社員の業務負担を軽減することにもつながります。これまでにもBPaaSは存在していましたが、その多くが大企業や公的機関に向けたサービスだったため、コストの面で中小企業では導入が難しいことが一般的でした。しかし、現在では中小企業でも導入しやすいサービスが増加し、DXを進めるサービスとしてのBPaaSが注目されています。

BPOやSaaSとの違い

BPOもSaaSも業務効率化を図るためのサービスですが、仕組みが異なります。

BPOは、「Business Process Outsourcing」の頭文字を取ったものです。BPaaSはクラウドを通じてサービスを提供するのに対して、BPOは外部委託先となる企業のスタッフが業務を代行する仕組みです。そのため、委託先の人材のスキルによって成果が大きく異なる点がデメリットとなります。

一方、SaaSは「Software as a Service」の頭文字を取ったもので、インターネット経由で、クラウド上のソフトウェアを提供するサービスです。BPaaSは、SaaS上で業務プロセスを外部委託(アウトソーシング)することを指し、BPOとSaaSを組み合わせたモデルがBPaaSとなります。

BPaaSの市場規模

SDKI Analyticsの調査によれば、BPaaSの市場規模は2036年までに約1,000億米ドルにも達すると予測されています。クラウド人事労務システムを提供するjinjer株式会社が、企業の人事担当者421人を対象にした「BPaaSの認知度・利用実態調査」によれば、BPaaSを34.8%の企業が「利用している」、15%の企業が「導入を検討」と回答しています。

その一方で、BPaaSを「まったく知らない」と回答した割合が59.1%となっており、BPaaSの認知・理解が進むことで、今後さらにニーズが高まることが予測されます。

参考:サービスとしてのビジネスプロセス(BPAAS)市場 : 世界の市場規模と需要、シェア、トップ傾向とメーカー ーレポートの洞察と将来予測調査

参考:【BPaaSの認知度・利用実態調査】 約80%がBPaaSについて詳しく知らないと回答。 約53%の企業がSaaSを利用する一方、 BPaaSを利用している企業は約35%という結果に。 | jinjer株式会社

BPaaSが注目されている理由

BPaaSが注目される背景には、主に人材不足とコスト増加という2つの課題があります。

1つ目の理由は人材不足です。少子高齢化や働き方改革の影響で、必要な人材を確保できない企業が増加し、業務遂行に支障をきたすケースが目立っています。特に専門的スキルを要する業務や単純作業のリソース確保が難しく、自社だけで業務を完結することが困難な状況にあります。こうした中、BPaaSを活用して業務を外部委託することで、効率的かつ円滑に業務を遂行できるようになります。これにより、企業は限られた人材でも事業の維持・拡大が可能となり、人材不足の解決手段としてBPaaSへの期待が高まっています。

2つ目の理由は、コスト増加への対策です。2023年4月の割増賃金率引き上げにより、時間外労働の人件費が増加したことで、企業の生産コスト上昇が課題となっています。このコスト負担を軽減するため、多くの企業がBPaaSを導入し、業務の効率化・自動化を進めることで生産性向上を図っています。

BPaaSを活用するメリット

BPaaSを活用するメリット

BPaaSを企業が導入すると、以下のようなメリットが得られます。

  • 業務効率化が図れる
  • コストを削減できる
  • ノウハウの蓄積につながる

それぞれをくわしく解説していきましょう。

業務効率化が図れる

業務をシステム上で遂行することで業務の効率化を図るためには、従業員がITに関する知識やシステムの使い方を新たに習得する必要があります。

しかし、BPaaSを活用すれば、専門知識や実績のある外部の企業に業務を委託できるため、システムの習得にかかる時間やコストを削減できます。また、外部委託によって自社の従業員はコア業務に集中できるため、業務の効率化が図れるだけでなく、事業の拡大や顧客満足度の上昇にもつなげられるでしょう。

コストを削減できる

BPaaSは、AIやIoTといったIT技術を活用しているため人件費の削減が可能です。BPOの場合、人件費や設備費が発生するため、委託費用も高くなりがちでした。しかし、BPaaSはAIやIoTの活用で作業を自動化し、作業効率の向上によるコスト削減を実現できます。

また、SaaSの場合は、運用ノウハウが乏しいと、既存環境を刷新する必要が生じ、コストアップにつながるケースがあります。しかし、BPaaSであれば運用や管理などの業務も委託できるため、トータルコストで見ると安く抑えられるケースも少なくありません。

ノウハウの蓄積につながる

BPOは、業務を丸ごと外部に委託するため、委託先で業務が完結します。そのため、発注先の作業内容がわからないといったケースも少なくありません。しかし、BPaaSはSaaSを活用して業務を遂行するため、クラウド経由でデータや業務フローを共有できる点がメリットです。

その結果、データやノウハウを蓄積することが可能となり、内製化に向けた人材育成や環境を整えることもできます。委託先に依存してしまうリスクを抑えられる点もBPaaSの強みといえるでしょう。

BPaaS活用時の注意点

BPaaS活用時の注意点

BPaaSを活用する際には注意点も存在します。

  • 導入コストの発生
  • セキュリティの問題
  • システム障害による影響

上記問題が発生してもすぐに対応できるよう、リスクとなるポイントをあらかじめ理解しておきましょう。

導入コストの発生

BPaaSとBPOは、いずれも導入時にコストが発生する点では共通しています。ただし、BPaaSはシステムの導入やカスタマイズが必要な場合が多く、その初期費用が課題となることがあります。また、運用コストも継続的に発生するため、短期的には割高に感じる企業もあるでしょう。

しかし、BPaaSは人件費の削減や従業員育成コストの抑制、業務効率化などを通じて、長期的にはコスト削減が期待できるサービスです。導入時のリスクや課題をあらかじめ理解し、適切な準備を行うことで、スムーズな活用が可能となります。

セキュリティの問題

BPaaSを導入する場合、クラウド上で業務を遂行する特性から、データ管理やアクセス権限に関するセキュリティリスクが生じる可能性があります。具体的には、不正アクセスやサイバー攻撃による情報漏洩、システム障害によるデータ損失が考えられます。

こうしたリスクは従来のBPOでも存在しますが、BPaaSではクラウド技術を活用する分、より高度な技術的管理体制や対策が求められます。そのため、導入時には提供企業のセキュリティ体制が十分整備されているか、データ保護に関する規格や法令への準拠状況を確認することが重要です。

さらに、セキュリティ問題の発生に備え、リスク要因を事前に把握し、運用ルールや監視体制を構築しておくことが不可欠です。迅速な対応ができる仕組みを整えることで、リスクを最小限に抑えることが可能になります。

システム障害による影響

BPaaSでは、業務プロセスとシステムが一体となって外部企業に委託されるため、システム障害が発生すると、自社の業務全体に影響が及ぶ可能性があります。例えば、委託先システムの障害によって業務が停止した場合、迅速な代替対応が難しいこともあり、復旧に時間がかかるリスクが考えられます。

そのため、BPaaSを利用する際は、システム障害のリスクポイントを把握し、事前に緊急時のワークフローや対応策を検討しておくことが重要です。これにより、万が一の障害発生時にも慌てることなく、重要業務への対応に集中できます。

さらに、BPaaSはシステム依存度が高いため、委託先企業の保証内容や復旧対応について事前に確認しておくことが不可欠です。具体的には、障害発生時の対応時間、責任範囲、代替手段の有無について明確にしておくことで、リスクの最小化が図れます。

BPaaSの導入を成功させるためのコツ

BPaaSの導入を成功させるためのコツ

BPaaSを導入して成果を得るためには、以下のポイントを押さえた上で、検討を進めることが重要です。

  • 目的を明確化させる
  • BPaaSベンダーを見極める
  • 社内体制を整える

目的を明確にする

BPaaSを導入するのにあたっては、明確な目標を設定するようにしましょう。「残業時間を減らす」「業務をスムーズに進める」など、具体的なゴールを設定します。また、現場のニーズを確認することも大切です。例えば、データ入力や請求書の処理など、手間がかかってしまっている業務は、自動化による成果が大きい、優先度の高い業務といえるでしょう。

BPaaSベンダーを見極める

BPaaSを提供するベンダーは複数存在しています。そのため、検討段階では候補となるベンダーの中から委託先を絞り込むのに苦労するというケースも少なくありません。しかし、委託先選びで時間を要してしまうと、業務効率化が遅滞することになります。委託すべき業務や自社の業務環境などを踏まえて、成果を見込むことができるベンダーを選んでいきましょう。中でも、想定されるエラーやトラブルに対するフォロー体制の充実度合は選定ポイントの1つとなります。

社内体制を整える

BPaaSの導入にあたっては、社内体制を整えることも必要です。導入プロセスを円滑に進めるためにも専任のチームを立ち上げ、進捗管理やベンダーとの連携を図る必要があります。特に、トラブルが発生した際に、迅速に対処できるような体制を整えておくことは重要度が高いといえるでしょう。

また、従業員が新しいシステムに慣熟するためのトレーニングの実施も不可欠です。ワークショップや研修など、新しいツールやプロセスに対する理解を深めるための取り組みが欠かせません。

BPaaSの導入に向いている企業の特徴

BPaaSの導入に向いている企業の特徴
  • ITリソースに限界を抱えている
  • 専門的な知識を要する業務が多い

上記に当てはまる企業は、BPaaSの導入に向いていると考えられます。その理由を解説していきましょう。

ITリソースに限界を抱えている企業

BPaaSは、ITインフラやシステム運用を外部のサービスプロバイダーに委託できるため、自社のITリソースが限られていても高度なITサービスを利用することが可能です。特に、大規模なIT部門を持つことが難しい中小企業やスタートアップに適しているといえるでしょう。

専門的な知識を要する業務が多い企業

BPaaSは、外部の専門企業に業務を委託できるため、法改正が頻繁に発生する業務や専門性が要求される業務を抱えている企業に適しています。これらの業務は、適切な業務遂行のために知識やスキルの習得が必要になることが一般的です。そのため、自社従業員への負担を軽減しつつ、品質の向上やリスクの低減もあわせて実現できるでしょう。

不動産業界もBPaaSの導入が進んでいる

不動産業界もBPaaSの導入が進んでいる

不動産業界はDXが遅れているといわれています。「自社には必要ない」と考えている担当者や経営者の方もいらっしゃるかもしれません。しかし、不動産業界でもBPaaSの導入が進み始めていますので、ここではその背景と活用事例をご紹介したいと思います。

不動産業界はDXが遅れている

前述したように、不動産業界はDXの推進が遅れています。その理由の1つは「アナログ文化が根強く残っている」ことです。

不動産業界では、契約や申込における書類の作成など、その多くが紙ベースで実施されてきており、今日でもそれらの商慣習が残っているのが実態です。

しかし、DXが遅れることで業務の効率化が進まなければ、所要時間やコストが増加し、結果として労働環境が悪化するでしょう。それにより、人材不足が進み、経営に悪影響を与える可能性が高まります。また、タイパや効率性を求める顧客対応にもマイナスの影響が出ることが予想され、場合によっては機会損失につながることも考えられます。

いい生活の事例をご紹介

いい生活は、SaaSおよびBPaaSを通じて不動産業界のDX化を推進するサービスを展開しています。子会社である株式会社リアルテック・コンサルティング(RTC)は、クラウドSaaS賃貸管理システム『いい生活賃貸管理クラウド』へのデータ移行や、稼働後の業務支援(データ入力、運用など)を支援・代行するサービスを提供しています。

例えば、高級賃貸住宅や投資用不動産の開発・賃貸管理を行うパシフィック・ディベロップメント アンド マネージメント株式会社では、RTCの業務支援サービス(PMA)を導入しました。同社では、バックオフィス業務や事務作業をアウトソースすることで、従業員の負担軽減と業務効率化を実現しています。

システム管理担当者の退職に伴い、後任の採用や教育に時間を確保できず課題を抱えていた同社は、RTCの業務支援サービスを知り、導入を決定しました。このサービスを通じて物件情報データのクラウド化が進み、業務効率化や人的ミスの軽減にも貢献しています。

さらに同社は、IT化・DX化の推進が不可欠であるとの認識から、RTCの支援に加え、RPAの導入や社内スキルアップにも取り組んでいます。業務支援サービス担当者のサポートがあるため、安心してIT化・DX化を進められているとのことです。

BPaaSを活用して業務効率化を目指そう

BPaaSを活用して業務効率化を目指そう

業務効率化を実現するために、BPaaSの導入を検討してみませんか。不動産業界ではIT化やDX化の遅れが指摘されていますが、いい生活のサービスを活用することで、自社のDX化をスムーズに推進できます。従業員の負担軽減やコスト削減にもつながり、業務全体の生産性向上が期待できます。BPaaSにご興味がある方は、ぜひいい生活までお気軽にご相談ください。

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