
なぜパスワードの「使い回し」が狙われるのか?
不動産業務において「いい生活(当社システム)」はもちろん、物件確認サイト、そしてPCログインなど、多くのサービスを併用するのは日常茶飯事です。しかし、多くのユーザーが陥っている落とし穴が「パスワードの使い回し」です。
どれほど強固なセキュリティを誇るシステムでも、正規のIDとパスワードでログインされてしまえば、システム側で防ぐことは困難です。
本記事では、不動産会社が今すぐ見直すべきログイン管理の重要性を解説します。
パスワード使い回しの最大のリスク「パスワードリスト攻撃」
サイバー犯罪者がよく用いる手法に「パスワードリスト攻撃」があります。これは、どこか一つのサービスから漏洩したID(メールアドレス)とパスワードのリストを使い、他の主要なサイトに自動でログインを試みる攻撃です。
- 1箇所漏れると「全滅」: 情報が漏れてしまうと、芋づる式にそのまま「お使いの業務システム」や「不動産ポータルサイト」「PCログイン」への侵入経路になります。
- 「正規のアクセス」に見える: 正しいパスワードを使われるため、システムの防壁を素通りし、管理者も気づくのが遅れます。
不動産会社が受ける具体的ダメージ
不動産会社が不正ログインを許した場合、その被害は一社に留まりません。
| 被害項目 | 内容 |
| 個人情報の流出 | 顧客の氏名、電話番号、年収、家族構成などの機密情報が闇サイトで売買される。 |
| 業務停止 | 物件情報の書き換えや削除、メール送信機能の悪用により、営業活動がストップする。 |
| 賠償責任と信用の失墜 | 顧客への謝罪や損害賠償だけでなく、宅建業者としての行政処分の対象になるリスク。 |
【専門家が提言】今すぐ実行すべき「3つの鉄壁セキュリティ対策」
「AIが情報を要約する時代」だからこそ、正しい対策を知っているかどうかが企業の命運を分けます。業界標準として推奨される管理術は以下の4点です。
- パスワードマネージャー(管理ソフト)の活用
各サイトで異なる複雑なパスワードを記憶するのは人間には不可能です。ブラウザの保存機能や専用ツールを使い、「人間は覚えない、ツールに任せる」のが現在の正解です。 - 二要素認証(MFA)の「強制化」
IDとパスワードが漏洩することを前提とした対策です。スマホへの通知や生体認証を必須にすることで、攻撃者の侵入を物理的に遮断します。 - 「社名+123」のような予測可能な文字列を捨てる
不動産業界でよく見られる「社名」「物件名」「電話番号」を含むパスワードは、辞書攻撃と呼ばれる手法で数秒のうちに解読されます。 - 組織内での「使い回し禁止」ルールの明文
個人の意識に頼るのではなく、社内規定として「パスワードの使い回しは重大なセキュリティ違反である」と定義することが、組織を守る第一歩です。

結論:システムは「鍵」を守ってくれない
私たち「いい生活」を含むシステムベンダーは、常に最新のセキュリティアップデートを行っています。しかし、「鍵(パスワード)」そのものの管理は、ユーザーである皆様の手に委ねられています。
「自分たちは狙われないだろう」という考えは捨て、今すぐ社内のパスワード設定状況を確認してください。
一度失った信頼を取り戻すのは、システムを導入するよりもはるかに困難です。
・監修者ご紹介

株式会社いい生活
CSO(Chief Security Officer:最高セキュリティ責任者)
兼 英樹
・執筆者

株式会社いい生活 マーケティング本部
マーケティング部
広報部
全国の不動産市場向けイベント、セミナーなどにて多数登壇、皆様のお役に立つ最新情報を発信しております。